大阪都構想シリーズ2
「大阪都構想(政令指定都市の大阪市廃止)の賛否を問う「住民投票」(11月1日投開票)」があるというニュースを見て、渦中である自民党と大坂維新の会にインタビューを申し込んでみた。
残念ながら新型コロナウイルスの影響もあり、大阪維新の会にインタビューは叶わなかったが、大阪市会議員の北野たえこ先生に話しを伺うことが出来た。
まつりちゃん:この金額の内訳には、公務員の人件費や、体制の移行の費用も含まれているのでしょうか。
北野たえこ先生(以下、北野氏):新しい体制については不思議なことが1つあります。
人員の規模については、積み上げ方式によって考えられているわけではなく、中核市並みの規模の周辺7市を平均して大体このくらいだろうと言うアバウトなやり方をしています。
中核市には行政区はありません。つまり区役所がないんです。その分の人件費を全く計上していません。だから、協定書という設計書には330人足りない計算になっています。
私達は以前、総合区を検討したことがあります。総合区を置く場合、例えば、調整事務を課された市税事務所が集約された時に、どのくらい人が減るであろうか、また、それをいくつかに分けた場合は仕事が分散されるので、どれくらい人が増えるのかという集約率と分散率を計算しました。これを今回の都構想に当てはめると1つのものを4つに分けるので、その分散率を計算すると、スケールデメリットが生じて仕事は増えます。
今の大阪市であればできることを、自ら放棄して小さな自治体になってしまう。それによって生じてくるのは、住民サービスへのしわ寄せですよね。
まつりちゃん:お話を聞いて驚きました。私が大阪市に住んでいれば反対と思ったかもしれません。
北野氏:ただ若い方は2重行政が解消されて無駄が省かれるイメージ持っています。2重行政は無駄があるんでしょう、とよく言われます。
例えば、現在、大阪には大阪府立体育館と大阪市立体育館があります。市の大会で使用するのは市立体育館というように、役割分担ができています。ただ、同じ地域に2つ同じものがあって、競い合っているのを解消しないといけないのが都構想とするならば、どちらかを削るはずだけど削らないという矛盾が生じています。
2重行政の弊害だということで閉じられた病院や研究所もあります。大阪府立大学と大阪市立大学が合併して公立大学法人大阪になりました。それは、バーチャル都構想ということで、知事、市長が同じ方向を向いているから出来たことだと手柄にしてるんです。大学の卒業生にはステークホルダーの方がたくさんいらっしゃいますが、すごく怒っています。ある一定の行政の効率化はできたかもしれませんが、伝統とか成り立ちとか、卒業生の想いといったものを無視して実行しました。
まつりちゃん:今の若い方達に「都構想」というものが新しいもの、また、東京都を連想していいものと感じているのかもしれません。しかし、賛成するにせよ反対するにせよ、今の政令指定都市というのがどういうものか理解してもらうために説明していただけたらなと思います。
北野氏:簡単に言えば、都道府県並みの権限と財源が与えられています。国と予算の折衝であるとか、政策上の話し合いが直接できるというプラチナチケット持っています。都市のランクで言えば、一番高い所にいるトップランナーだと思っています。みんなが憧れるような都市格を持った都市だということです。
まつりちゃん:横浜市も政令指定都市の1つですが、大阪市から見てどうですか?
北野氏:今日も横浜の方が「大阪市がなくなればぶっちぎりで1等賞。ライバルがいなくなってしまう」とおっしゃってくださいしました。横浜市長は360万人を見てらっしゃるわけじゃないですか。大阪は、270万人を一人では見切れませんと言うんですよ。市長が堂々と。だから、4人の特別区長を誕生させてお互いに切磋琢磨していきながら、70万人なら見れると(笑)
そもそも70万人は政令指定都市の規模なんですよ。4つの政令指定都市が誕生するようなものです。
区割りも歪なんです。総生産も違いますし、区割りが嫌で反対している方もいらっしゃいます。
結局、教育や福祉など身近な住民サービスは、特別区が担うことはわかっています。少なくとも水道・消防・下水、それから街づくりの権限ですね。こういった、村でも付与されている権限を剥奪されるということは、意味がわかりません。そこだけ府が持っていくんです。
5年前の協定書では、一部事務組合がやることになってました。一部事務組合とは特別地方公共団体という位置付けで、議会も予算も持っています。言ってみれば、特別区と同じ位置付けになります。なので、4つの特別区と一部事務組合ができます。共同で運営した方が効率的ですよ、という事務を担う新しい特別地方公共団体ができるということなんです。今回の協定書では、一部事務組合が担う事業は介護保険事業や行政システム管理、あとは未領地の売却。これぐらいなんです。
一番大きい事業は、介護保険事業です。介護保険事業は保険料を決めたり、高齢者さんと密接な関係を保つ必要があります。この事業を一部事務組合が担うということが致命的であると私は思っています。なんのためにそうするのか。それは、介護保険料を特別区で一定にするためなんですが、大阪は介護保険料が日本一高いんです。それぐらい、高齢化率と介護認定者が多いんです。もし介護保険料を下げようと思っても、すでに一部事務組合で決められてしまったら、特別区は高齢者への施策から完全に離れてしまうので、できません。これもまた、デメリットの一つだと思います。若い人もいずれ歩む道なので、無関係だと思ったら大間違いです。サービスを受ける高齢者の方は、反対が多いと言われています。若い方達にこういったところを、もっと知っていただきたいと思います。
次回に続く